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腹を満たしてKくんを迎えに行く。
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Sくん国道でなく山道を選んで車を駆る。ここあたりで日が差す景色がちらほらと。やはりKくんは晴れ男か。ケイオーとかイケメンとか上級官僚とかは、当たり前ゆえKくんを褒めることにはならぬかも知れぬ。晴れ男は周囲の誰にも喜ばしいことだし。
山道選ぶはSくんの、この九去堂へのサービスと勝手に有り難がることにする。ど腐れハーレー団や団塊BMWじじいはどうか知らんが、私の如きアウトライダーは山道細道を征きたがる。あの連中なんなんですかねとSくんが聞く。バカです、と答える。
一。つるむのはひ弱だから。二。爆音立てるのは自信がないから。三。田舎の霊柩車みたく飾り立てるのは、自負がそれしかなくヘタクソだから。過去を反省しつつそう答える。雑民は喜んだり恐れたりするかも知れないが、SAなんかでカチ会えば。
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たかがクウォーター騎りの九去堂如きに、追っ払われたり道を空けたりするハメになる。そういや昔、この近所の山中で、メイト君に騎る九去堂を脅しに来た、たぶん中学教師あたりの半ちくバイカーが居た。もちろんキッチリ始末は付けてやったが。
心地よい話ではないから忘れていた。脅しに来たのもそ奴が無能だからで、恐るべきでないものを恐れていたから。身の程を知らぬ弱者と関わってもろくな取引にならない。だから事前に、バカが寄ってこないような工夫が要る。この季節の蚊と同じ。
そろそろ待ち合わせ駅たる西武秩父が近づく。ここで黒めがねを取り出したはその心得。さらに車止めて呉れろとSくんに願う。そろそろヤニが切れてきた。あわれなタバコ呑みは世間から迫害され、小さく暮らすが作法。団塊ジジイどもを別として。
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寄ったコンビニで、ついにSくんタバコを買う。私は進呈してかまわんのだが、常用のモクは癖が強い。上場リーマンに転身後、Sくんモクをやめた。気の毒なことである。カレー屋の向かいの店前で、並んでモクをやる。雨はいよいよ上がってきた。
さてこそと駅に車を駆る。Sくんなにやら細い市道に入る。ぐるぐる回って駅に近づくが、その姿が見えない。西武秩父は後発だけに、ヘンなことろにあるという。やっと着いたがKくんも見えず。バスタクシーはともかく、甲乙丙丁の車も陣取っている。
回して時間稼ぎましょうとSくん言う。そういやKくん、師匠のちんぽこ好きだったねと私が言う。ありますよ、とSくんオーディオを操作。件の曲が奏でられる。通して聞くのは初めてだが、あの部分はどうしても、師匠のちんぽこにしか聞こえない。

すでにこの身は後部座席に移し助手席を空けている。人拾いにはそれが効率的。人さらいは後部が定式だが。再び駅が近づく。よく晴れているし甲乙丙丁も同じ。窓を開け黒めがねを掛けた九去堂が首を出す。それを看板にロータリーを巡る。
電車が着いたようですとSくん言う。確かに改札から人出がある。あ、居ましたとSくん。甲乙丙丁を過ぎた端っこで、Kくんを拾う。追いついて助手席開くKくん。九去堂は荷物を後部に引き取る。何だかコワいものが見えました、とぽやんとした声*。
もちろん狙ってやってるんだよと私。Sくん苦笑して車を動かす。S・Kくん互いに会うのはたぶん、前々回の早慶戦以来だろうか、話が積もる。九去堂眺めつつ黒めがねを仕舞う。一言だけKくんの晴れ男を讃える。え、そうですかねとKくん応じる。
まことに、この日照ったのはこれ以降のみ。
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賑やかになってお山へ向かう。


*Kくんの肖像はこれを使うが良かろう。
江口夏実 鬼灯の冷徹 五道転輪王
©江口夏実『鬼灯の冷徹』第四巻

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