秩父昇天記(1)

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雨の西武池袋線を、Sくんとの待ち合わせ駅に向かっている。R0034120.jpg

毎度ながら、そこからはSくんの駆るSくん号で旅するのだ。08年秩父旅、11年越後酔いどれ紀行、そして今回と、これで3度目になる。こういう面倒見の良さは私には無い属性で、SくんがKくん始め後輩諸君から慕われているのも、誠にもっとも。

親分が務まる個性にはこういう能力は不可欠で、仕事が出来る・話が出来るだけではこうはいかない。秘事は黙って、そして黙っていると気付かせない、と似た属性。おそらくこれは、生まれ育ちによるもので、後天的に身につけようとしても無理な話。

だから地位財産年齢を問わず、人間は平等なわけで、私はAが出来る、君はBが出来る、これでニコニコ善い取引。だが残念ながら世間のほとんどは、このことわりがわからないようだ。だがそれもまた当然の話と観じつつ、この旅を楽しむとしよう。R0034121.jpg

Wの者には聞き慣れた、大小手指駅で乗り換えて、0844待ち合わせ駅へ。会合予定時刻までには15分ほどある。雨はしょぼしょぼ降っている。開店前の屋根下でモクなどやっていると、SくんSくん号に乗って現れる。ヤアヤア久しぶりと手を挙げた。

オヤと思ったのは、上級官僚Kくんが居ない。聞けば実に下らない理由で休日を呼び出され、うんこおやじの尻ぬぐいをして居るという。午後には合流するようですと上場リーマンSくん。そういうのがイヤでこうなった、ひねくれインテリ九去堂が頷く。

雨ですねぇとSくん。雨だねぇと私。お山登りは止めた方がいいね、と少し安堵を交えて答える。そうですね、どうしましょうか。マァ適当に秩父をうろうろするのも良いものだ。大腹中の人物にも聞こえるが、偉そうに良きに計らえと言ったことにもなる。R0034122.jpg

それをさらりと流してSくん車を駆る。ダッシュボードには、京都は晴明神社のセーマン様が貼ってある。08年には窓に貼ってあったのだが、車検の時に剥がされちゃったのだとか。ただしディーラーがキチンと剥がしキチンとここに貼り直した。それが。

経年劣化でシワシワに。こんなこともあろうかと、新品を私が用意した。拝む神仏などこの世にいないが、個人が喜び面白がる分には、拝むも貼るもこの世の快事。不都合非合理は何もない。そう思いつつ市街を抜ける。Sくん号は山へと入っていく。

この間何を話したのか覚えていない。ただ話が途切れなかったことを覚えている。話せばナカヨシというわけではないが、話さぬ奴には油断のならぬ者が多い。海外での行きずり挨拶と同じ事。言葉は安寧の力、私はあなたの敵ではありません。R0034124.jpg

この時それを思ったわけでない。それに車内は中華歌謡がかかっている。香港タクシーみたいだと言われたとか。もはやさび付いた私の北京語だが、その耳でも華南方言だなとわかる。Sくんはどちらも堪能だが。そのいくつかを披露して貰う。

今回、地理人文の予習無しに旅に出た。ゆえに車窓のあれこれを見ても見当が付かない。所沢と秩父の間に、山塊がデンと座っていることすら抜けていたほど。過去の記憶がかすれている。だから新鮮でもあるし、話も途切れぬゆえ退屈しない。

ただ前回の、Sくんと同行した秩父旅を思い出す。あの頃ちょっと私は大変な時期だった。今なお大変と言えばまあそうだが、ただ流されるのと、潮目が見えるのとでは雲泥の差。鍛錬に向いたこの体質は有難く、それを再確認する道行きでもある。

そうこうするうちにトンネルを抜け。R0034128.jpg

Sくん号は秩父へ入った。

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