伊豆大島たいふう紀行(4):釣りデビュー

2013年の大晦日、ここ伊豆大島トウシキキャンプ場では、相変わらず朝から風が強い。

しかし習慣は習慣であるから、野戦ストーブを予熱してお茶を淹れる。

朝の日課は他にもある。
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ネズミ屋の安物フリースベストに縫い込んだハクキンカイロに、一日分を注油して点火する。

洗濯もまたしかり。
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昨日買った釣りエサ、買った時は煉瓦のように凍っていたが、いい感じに溶けたようだ。

1000、いざ釣りに、波浮港へ。
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波浮港(はぶみなと)は島の南端、キャン場から歩いていけるほどの距離にある。
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©Google Map

江戸の昔は湖で、そのもっと昔は噴火口だったんだろうが、ご覧の通り天然の良港、今でも漁港ではなく、万一の避難港として指定されているらしい。

左から港に入ってぐるりとまわり、とっ先の岸にメイト君を停める。
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では、いざ釣らんとカッコウだけは一人前の釣り人になる。何せあえて自分で釣るのは、生まれて初めてなのだ。先に岸にいた若い釣り人二人連れに会釈し、がさごそと道具を取り出す途中、折からの風に吹かれておっとっとっと。釣り用の手袋を海に落としてしまった。

やれやれとメイト君のリアボックスから、タモ網を取り出して戻ってみれば手袋が岸に。若者の一人が「上げましたよ」と言って、取ってくれたのだった。これはどうもありがとうございます。釣り人同士の仁義、ってやつかもしれないが、ワシらひなたグソ世代と違い、本当に、近頃のたちの良い若者はたちがよい。

さてそれではと竿を入れると…。
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フグが釣れる。皮にも肝にもたっぷりと致死性の毒を含んだクサフグ*である。

気を取り直しても一度入れる。
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やはりフグが釣れる。

初心者がここで落ち込んでいてはいけない。勇気をふるって更に竿を入れると…。
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ぞろぞろと四連チャンでフグがかかった。

釣りをやる方にはおわかりだろう。こやつら食えないだけでなく、獰猛な歯を持ってるからハリを外すのもやっかいだ。ほっとくとぷぅ~と膨れてそれは面白いのだが、サイバラ画伯によれば、それをぱんぱんと踏んづけて遊ぶのが、漁村わらべの習わしであるらしい。

しかし私はそうでない。初めて扱う釣り道具、魚の皮膚の感触、意外に魚は丈夫な生き物であること(腹に針が刺さっても、膨れたフグはしぼまない)、驚きの連続だ。フグ釣り上げるなんざ釣り人としてヘタクソの証しなんだそうだが、それを悔しがるというより、フグに遊んで貰った、という意識が強い。
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先ほどの若者連れは、釣り場を変えてどこかに去った。そこへ、港の漁民とおぼしきオッサン連中が通りかかる。どうだいと聞かれるのでフグばっかし、あたしゃ初めて釣りをするんです、と答える。そりゃもっと釣りにハマったほうがいいなぁ、楽しいぞぉ、あっはっはと言ってオッサン通り過ぎる。

独りに帰ってまた竿を入れていると、対岸に豆粒のようなミニパトが走っている。敵艦見ユ。

あー、と口を半開きにしていると、ぐるりと回ってこちらにやって来た。来ればこれまたオッサンの警官が面白そうに降りてきて、また同じようなことを聞く。同じような返事を返したところ、まぁ楽しんで下さいと言って帰って行った。何しに来たんだろう。


のちにキャン場で出会うことになる、TさんSさんの2人組である。
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(撮影:Sさん)


さてそんなことはつゆ知らぬこの九去堂、ふと首を回すと、やや離れたところに団塊夫婦の釣り人を見る。またもや敵艦、といったところだが、島に来てまで下らないことは考えたくない。その気もなしに様子をうかがっていると、夫はなにやら説教し、妻はわぁわぁ文句を言う。仲が良いのか悪いのか。ともあれどうやら投げ釣りのようで、そこそこ釣果が上がっているようだ。では私も一発、と、サビキ仕掛けを投げ釣りに変えて放り込む。

ちゃんと投げられるようになるまで失敗を繰り返す。投げては引き、投げては引きを繰り返していると、ビビッ、と引きを感じた。またフグじゃろ-、とリールを巻けば、ちっちゃなイワシが一匹かかる。これが、私が釣った、食える魚の初釣果であった。

調子づいてまた投げる。かかった。フグじゃねぇかな~と引き寄せれば、ちゃんと食いでのあるアジが。コレヨコレヨと喜んで、ハリを外してバケツに入れる。
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そこへ今度は軽自動車がやってきて、仲の良さそうなカップルが降りてくる。釣れましたかと聞かれて、えっへっへ、アジとイワシがいっぴきずつで。と答えた。

さて、釣れた魚二匹をその場で〆て、1330ごろ、クーラーに入れてキャン場に持ち帰る。
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イワシは小さいから天ぷらに、アジはあぶって頂くことにしよう。
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今日はムツカシイ事言わずに麦飯炊いて、味噌汁も炊いて出来上がり。
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この手で食う、と言う幸せ。では、有り難く頂きます。


そこでそういえば、と伊予松山の釣り師&プロの料理人、K先輩にメールしたところ、ただ一言、「ヤメトケ」。

半日後、追ってさらにメールが。
「調理は不可能。他のふぐと違い、全身に毒がある。絶対やめとけ。」
はっはっは。先達は有り難きかな。

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