(31):天空咖哩

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三国峠(1139m)は、北海道のほぼ真ん中、自動車の通れる峠としては、道内で最も標高が高い。
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かつて初北海道ツーリングの際、ここを帯広側から北上した。その時はまだ未舗装で、深砂利にハンドルを取られて低速ゴケし、スクリーンをバキバキに割ってしまった記憶がある。
今回はこの峠を北から登った(画像は南向き)。
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トンネルで峠を抜けると、どこまでも樹海の続く絶景が広がる。
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※クリックで拡大
それゆえ、ここを目当てにするライダーは多い。
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私とかもしかⅡ号もまた、同様。
峠にはよくあることだが、お休み処がある。時刻もちょうどお昼時、何か食べていこうと店内に入った。地面の傾きにスッ転ばないよう、慎重に場所を選んで馬を駐める。
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こぢんまりしたお店のしつらえは、観光地によくあるロッジ風で、同年代かちょい下と見える夫婦で切り盛りしている。半分はお土産屋、半分が全卓8人ほどのカフェである。
先客は3人。ハーレーに騎ったタンデムの夫婦、こちらは帯広の方らしい。その奥さんが「ライダーハウスみたい」というので、思わず「そうですね」と私も笑った。
右手、樹海を見下ろす窓際には、若者が1人座っていた。表には彼の乗騎、青いWR君が休んでいる。
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それなるF君、群馬からやってきたという。はるか130km南東の阿寒湖畔にベースキャンプを張り、今日は大雪山の峰の一つ、赤岳に登ろうと北上してきたらしい。身支度もいかにも登山向きだ。
それはすごい。しばしこのF君と話をする。今夜のねぐらはまだ決めていない、と私が言えば、どうです阿寒湖畔は、とF君言う。そうだそうしよう、と心を決めた。
カフェのメニューはもちろん軽食中心。うまそうな写真につられて、私はソーセージカレーを注文、¥1100也。
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しばらくしておかみさんがカレーを持ってきた。ここで私は心中を明かさねばならない。
往々にして観光地のこういった食事に、うまいものがないのは知れたことだ。価格が高いのも、標高差ゆえである。そもそもあるじが店に出張るまで、1時間はかかろうこうしたお店では、食事がとれるだけでもありがたいと思わねばならない。山小屋と同じだな。
というわけで、私はカレーの味に全く期待していなかった。まぁそんなもんでしょうと一口目をスプーンで運べば…。
うう、うまい。
食べる前に写真を撮らなかったことを後悔した。それは期待していなかったからこそなのだが、改めて、既にぐじゃぐじゃになったカレーを撮るわけにもいかない。
米の炊き具合良し、ルーの味加減良し、ソーセージもまたいける。特筆すべきは付け合わせのポテトフライで、網状に広げられた揚げの羽根が造形的な美しさを持つだけでなく、味付けもまた絶品だった。
貧乏臭くない貧乏人として、これでも口は相当おごっている自覚はあるのだが、こたびの北海道ツーリング中でこのカレー、同列一位に置きたいぐらいのおいしさだった。
ふと窓に目をやれば、やや雲が広がり始めた。
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やがてハーレーの夫婦が席を立ち、F君も赤岳目指して発つという。それじゃあ阿寒湖で、と再会を約して私も席を立つ。支払いの際店主に聞けば、やはりこのお店は通いと言い、さすがに冬は閉めるという。
感動の余り、正直言って期待してなかったのですが、とカレーのうまさを伝えた。少しはマシな言い方をすれば良かったと今後悔している。
この絶景と思い出に、今一度別れを告げて峠を去る。
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下りの道もまた、絶景のはずである。ぶっ飛ばして通りすぎるにはもったいない。ゆっくり、楽しむとしようか。
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