(16):旅人文化

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旧興部駅に置かれたこのディーゼルカーは、ルゴーサエクスプレスというヘンな名が付いており、旅人のねぐらとして、夏期は無料で開放している。

名はヘンだが、水場もトイレも管理は行き届いており、ヘンだと思った自分が申し訳なくなる。それだけに人気があり、早めに行かないと入れないのでは、と思って受け付け開始の時間を狙ったわけだ。
はじめは道の駅構内の、オトツイの方向でどこに馬をつなごうかと輪騎りしていた。すると旅人らしき若いお兄ちゃんA君が出てきて、バイク置き場はあっちだよ、というのでそうした、それが冒頭の画像。
中に入ればこんなもん。
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大荷物を畳の上にあければ、2畳分をとってしまう。いずれ、どうにかせなばならないだろう。
先着していた先ほどのA君、いろいろと周囲の事情に通じているらしい。買い出しに行くには農協しかないと言うが、その店がまたすごいという。
雨がぱらつきだした中を、A君やらジェベル騎りBちゃんやらと共にそれなる店へ行く。なるほどすごいに決まっている。
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北海道のみならず日本の辺境には良くあることだが、人っ子一人いない中に、人ト気のない廃屋らしきものがまちの大通り沿いにある。いや、まだここにお住まいだったりお店をお開きだったりするなら申し訳ないことだが、これはすごいと言わざるを得ない。
中にはまっすぐ建っている建物もあるが、これまた人ト気が無く、やっているのかどうかもわからない。
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うちゅうツーリングとはいえ、雨中で飯炊きはヤだなと思っていたから、営業中だったらここで食事にしようかとも考えたのだが。
やや歩いて農協に行く。トタンで囲われたただの倉庫に、「営業中」というのぼりだけがあがっている。それがなければまさしく倉庫で、知らないなら店だとは思えない。
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入れば真っ暗な土間の中に裸電球がぶら下がっており、なにがしかの商品がそこそこ揃っている。無論食うのは私1人だから、1人分でOKの分量をと、ビール2本、ジンギスカンのパックにモヤシ一袋を買い求めた。¥1,048也。ついでにレジ袋は有料、¥3也。
ねぐらに帰りしな、すぐ脇の食材屋も覗く。カップラーメン1つ買って¥100也。一旦戻って風呂に行く。公衆衛生上の理由からだろうが、このようなまちにも銭湯があるとはありがたい。
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湯銭¥420也。湯に浸かって天井を眺める。ここでもデジャブーがよぎるが、さすがにそれは思い過ごしだろう。全国あちこちでお湯屋のお世話になっていると、区別が付かなくなってこういう感慨を催す。人の記憶なんぞ当てにはならない。
湯から戻ればほとんど日は落ちた。天気は下り坂であること間違いない。
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ガラリと重いドアを開けてねぐらに戻れば、次々と旅人がやってきて、やや手狭になり始める。それにつれ、コンセントの位置やら広さやら、場所トリのやりトリが何となく始まる。
トリは愛でるか、焼いて食うものだ。コンセントならこっちにもあるよ、場所は空けてやろう、あとから来る連中が可哀想じゃないか。そう言いつつ自分の荷を、ぽいぽいと床に下ろす。後から来る奴ほどくたびれてんだ、なんならおいちゃんは床で寝るからよ、と言えば、若者連素直に従い、一人当たり一畳でおおむね落ち着く。
さてそれではメシにしよう。ぱらぱらと小降りであることもあり、大胆にもA君は、車内で盛大に火を上げる。これは無理のないことだ。しかし私はなんとかなるだろと外に出、バーナを点けた。
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その他メシを炊くのあり、パスタを茹でるのあり。それぞれにメシの支度にかかる。
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メシはそのまま、飲みの流れとなる。私はクバンと新潟ポン酒を提供。
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その最中ふと運転室をのぞいたら、灰皿が備え付けられていた。昔はおおらかだったんだよな~。
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消灯の時間となったので、飲み足りない話し足りない連中は、道の駅のホールに移動。私もランタン持ってつきあった。
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こういうときにおきまりの話の流れ。ほとんどはまだ二十歳前後であるからには当然だ。
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ここ数年、旅に出てもこういう若者にあまり出会わず、オッサンオバサンばかりでうんざりしていたのだが、場所を選べばそうでもないようだ。考えてみればキャンツーをほとんどやっていなかったからで、いわゆる貧乏旅行をする旅の若いのはまだまだいる。もっとも、絶対数は減っているが。
夜更けてから、管理人さんが様子を見にやってきた。特段とがめられもせず飲みはしばらく続き、やがてお開きとなる。
日付変わった深夜、雨は本降りになっている。本当に良く降る。

若者連はよく寝ている。一人で飲み直しながら、さて、どうするかいと、今日の道行きを思った。

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