(5):双木風雪

スポンサーリンク


0853、清水町の一角に、ホクレンを見つける。
s-P9010089.jpg
ホクレン清水給油所、1.99L、¥310也。日高から60kmほど、給油したばかりだから、馬のおなかは減っていない。しかし「フラッグあります」の看板を目にして、一本手に入れようと考えたのだ。
ここからしばらく、十勝の大平原を行くことになる。
9105.png
0930ごろ、帯広の市街を通過する。北海道の雄大な景色の中にあって、久しぶりに見る都会らしい都会だ。
gsv9102.png
ちょっとホッとしたりもする。ただし普段なら見慣れた風景ゆえ、シャッターを押さなかったと見える。
…イヤイヤそうじゃない、やはり当日が雨だったからだ。
帯広市街を抜けると、進路は十勝川とぶつかる。その川に沿って方向を変える。
9106.png
目指すは豊頃町のシンボル、ハルニレの木だ。
s-P9010100_20130920120530bca.jpg
ハルニレ、別名ニレ。エルムとも言う。全国学校歌中の傑作、北大の寮歌に、雄々しく聳ゆる楡(えるむ)の梢、と歌われたあの名木だ。上野と札幌を結ぶ特急列車に、エルムと名が付けられていたのはそのゆえだろう。
エルム
画像出典:http://www.geocities.co.jp/MotorCity-Pit/3768/page058.html
かつては北の大地を、この木が覆い尽くしていたのかも知れない。
北海道の平原を走って感じるのは、100年前まで、この大地は一面の湿地帯だったろう、ということ。水と動植物が、あるがままにあるように振る舞っていたのだろう。とはいえ、私にはエコロな狂気の持ち合わせはないから、やがて開拓が進んだ現在の姿もまた、好ましい。
ちょっと迷って、現地に着く。
s-P9010091.jpg
(1009)
ここは十勝川の堤防の上、木は広大な河川敷に立っている。そこへ向かうべく階段を下りると、元の湿地帯に戻っていた。
s-P9010096.jpg s-P9010099.jpg
意を決して足を踏み入れる。立っている木は2本。5分ほど歩いて、手前の木の前に立った。
s-P9010101.jpg s-P9010102.jpg
よく手入れされているのだろう、根元はドーナツ状に、チップが敷き詰められている。
s-P9010106.jpg s-P9010107.jpg
木陰はほどよく雨を防ぎ、しばし佇みたい気持ちになる。ご覧の通りこの木は、2本の木が寄り添って、1つとなった木だ。
この木の存在は、すでに20年前に知っていた。しかしこれまで一度も、訪れたことがない。興味がなかったのだろう。今回の旅はそのような、行き残したところを一つ一つ、拾い集める旅でもある。
もう1本の木に向かう。
P9010108.jpg
振り返れば我が乗騎が遠くに。
P9010110.jpg
見回せば十勝平原の広さを感じる。洪水の恐れさえなければ、この芝の上にテントを張り、一晩木と共に過ごしたく思った。
こちらの木も、2本が寄り添って一体化している。
s-P9010109.jpg
そのスキマはやはり、菌類の天国。たぶん、微生物・虫のたぐいにとっても恵みの木だろう。
推定樹齢は140年ほどという。その間十勝の野がどんどん変わっていくのを見、風雪に耐えてきたことになる。おそらくは、仲間が切り倒されていくのも。
10分ほど木の元で過ごし、馬に戻った。
s-P9010111.jpg
傍らには、瀟洒な休憩所が建てられている。管理人はいない。トイレを借りるついでに、中に入った。
s-P9010112.jpg s-P9010113.jpg
ライダーハウスとして開放してくれれば、さぞ気持ちがいいだろうが、17時で閉鎖。管理人がいないからには、ルンペンのたぐいに棲み着かれると困るのだろう。
再び乗騎に戻って、出発。
s-P9010093.jpg
これまた再び道にチト迷い、4駆でまわるおまわりぐるまをかわしながら、次なる目的地を目指す。
P9010114.jpg
(1047)

スポンサーリンク

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする