酔いどれ紀行:アキバ神田編(1)

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旅のジャンルに入れるのも何だかなとは思うが、それが一番テケトーなので。
週末、アキバに出かける用事が出来た。
無論、もえもえのグッズを買いに行くのではなく、ご主人様呼ばわりされに行くのでもない。
私はこれでも年齢の割には、オタクだと思うのだが、アキバに貼り出されてるもの売られているもの、どれを見ても、悲しいかな全然もえもえできないからである。ネコ耳付けた小さい子にチラシ差し出されても、かわいそうに、としか思えないのだ。歳は取りたくないものである。
ここでとある電話を挿入。
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お前、AKBって知ってるか?
ん? そりゃロシアの機関銃かね
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も1つ挿入。
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お前、AKBどう思う?
まぁ良くは知らないが、しょうべん臭い子供がわぁわぁ集まって、一生懸命歌ったり踊ったりするのはご苦労なことだ。どうも俺の守備範囲じゃあないなぁ
それでもお前あれだぞ、彼女たちがお尻だけ出して並んでたらクるだろうよ
むむむむ。おチリ。おチリねぇ。そりゃあいいねぇ
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閑話休題。要するに電子部品を買いに行くのだが、ここでふとアタマの電球に明かりが点いた。
引き籠もりのオッサンとしては、めったにない外に出ようパワーがダダ漏れになったこの時だ、ついでに楽しみたいものである。ここは1つ、誰かに巻き添えを食わせてやろうというので、Sくんに電話をかける。
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あー、Sくんや。
なんですいきなり
おっちゃん今日はヒマぶっこいててね。んでアキバにでも出ようと思うのだが、君時間あるかね
いいですよ昼間なら。じゃ昼でもしますか
うん。そんじゃぁね、いつも通り、店とか時間とかはお任せねぇ~
・・・・・・
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いつもながら我が所業を振り返ると、ふらちなオヤジであることに気付く。
というわけで時間と場所が決まる。ここで1つ事がある。
待ち合わせの場所を決める際、アキバのどの地点かを指定する。ここでうっかり、営団の改札という言葉が私の口から出てしまった。あ、チクショ、営団って言っちまったい、と言えば、電話の向こうでSくんゲラゲラ笑う。
そういえば先日、K先輩と塩の話をした。その優劣を論じるに、するりと専売公社、という言葉が私の口から出る。相手が先輩だからそのままスルーだが、もはや自分が、旧弊であることを心より思い知る。
あっはっは。かような些細なことで、私は心よりこの世を楽しむ。
さて電話は終わった。私はさっさと電車に乗って、アキバに出かけてしまう。
駅に向かう道すがら、杖の手の内を様々試しつつ、営団とか専売公社とか思い出して実に愉快だ。
乗ってアキバに着く。時間はまだ早く、開いている店は半分ぐらいだ。数軒の電子物屋さんをまわるが、目当ての部材がどうも見つからない。
私は若き日にラジオ少年だったから、がさがさした電子小店が集まったアキバを良く覚えている。
アキバ
(拾い元忘れた。さすがにここまでじいさんではない)
その多くは絶えてしまったが、老舗のラジカンあたりには、そうした小店がまだ健在だ。回るだけ回ってふと気付く。いちいち部品買ってハンダ付けするより、出来合いのもんいじり壊した方がいいんじゃないの?
というわけで、たった¥100のUSBケーブル買って、目的達成。電車賃を考えればバカみたいな値段だ。
Sくんとの時間までにはまだ時間がある。というわけでとある茶店に入る。早いだけあってまだ空いているのが嬉しいが、それより煙を吸いたくて堪らなかったのだ。喫煙席があるのを見て満面の笑みを浮かべると、いらっしゃいませと出てきた副店長のお姉さん、アテられたのか笑みを増す。
どっかと座りメニューを見る。葉っぱが新しくなりました! と紅茶の項に書いてある。おおー、新しくなったんだねぇ。おっちゃんはこれにしようかねぇ、とぶつぶつ言いながらお姉さんの方を見ると、とうとう笑い出した。
落ち着いて店内を見回す。やがて嬉しそうな顔をして、お姉さんがお茶を持って来る。女性は笑らかすのが一番だ。すすりながらふと見ると、しなやかな姿の、別のお姉さんが、あっち向いて仕事をしている。すなわちあちこちのテーブルを、一生懸命に拭き磨いているのだ。そしてこの店の制服といえば、ボトムはぴったりとしたパンタロンである。お姉さんは腰を曲げている。
実によいけしきである。今日は良い日じゃのう、とトクと楽しむ。しかしこれ、ご主人様呼ばわりされにきたのと、本質的にはぜんぜん変わらない。そんなことを思いながら心中ゲラゲラ笑い、この眼福を心ゆくまで楽しむ。
つい数瞬前まで、時間つぶすにずいぶんと退屈だろうな、と覚悟をしていた。それゆえ入店直後に、持ち歩きの文庫本を出してみたりもした。あまり意識せずにカバンにブチ込んである本だが、取り出してみるとシュレーディンガーであった。数理の本だけに時間はつぶせるが、ガハハと笑える書物ではない。
いや、まだましかも知れない。ドストエフスキーなんぞ入ってたら、あっという間に目まで縦線が下がろうというものだ。一時期寝床まわりの本に、やたらとドストエフスキーが並んでいたことがあり、夜中も相まって陰々滅々としたものだ。
しかし今日はそうではない。このけしきを前にすれば、本なぞ読んでいる場合ではない。ということをかたや思い、かたや眺めながら、気がつけばあっという間に時間は過ぎた。5分前に店を出て、Sくんがいるであろう場所に向かう。

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