名古屋出張顛末記(4)

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セントレア出発ロビーの中二階? にある湯は、風の湯という。
サウナと泡・電気等、特殊風呂を備えた浴場で、お値段はタオルバスタオルレンタル付きで¥1k也。ただの湯としてはやや高いが、場所を考えればまぁ妥当な線でしょう。
こたびは電話にくっついたちゃちなカメラしか持っていないから、湯の画像はおおむね、公式サイトからの借り物。
荷を転がして中に入る。料金を払うとそこは慣れており、荷を全て預かってくれた。貴重品だけは、暗唱式電子キーの付いた金庫へ。
くるくると着衣を脱いで飛び込む。目指すはもちろんサウナである。
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ほどよい広さに、先客は1名。というか、全体を含めてほとんど客は居ない。日時が日時だと言うこともあろうが、それにしてもこの空港は寂れている。
サウナでヒーター前の1等席を占める。ただし温度が90度弱に設定されているから、12分計の針がこの世で一番憎たらしくなると言う、あのマゾヒズムは味わえない。針が回りきるまでに、3、4ほどの客の出入りがあったが、あんな短時間で満足できるのかしらと思う。
回りきったので外に出る。いつもならこのまま水風呂にドボンだが、その前にシャワーで汗を流せとお説教の紙が貼ってある。それに従いドボンするが、なかなか天井が回ってこない。ぬるいサウナでは効かぬが道理である。しかし有り難いことに水風呂は独占で、せっかくだからと顔だけ出して天井を眺めていたら、やがて不思議にも回り始めた。温度とはあまり関係ない体になったのか、それとも老化か。
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今時の建築物だけあって、複雑に組み合わせた構造材を丸出しにし、その上にガラスを張ってある。ただし世界のみなさまに開チンとはならぬよう、微妙な角度で板を重ねてブラインドっぽくしてある。構造材は、そこは工学の先生が考えた適切な構成になっているのだろうが、電柱ほどの鉄柱が集中するジョイントの、貫通ボルトが細げに見える。今揺れたらあそこの下では、血の池地獄が現出するのであろうかと思う。
脳内麻薬を堪能して温浴槽に入る。寝風呂に1人、大浴槽に2人、洗い場に1人の客が居る。寝風呂は3列であり、その一番左だけに、お天道様の光が差し込んでいる。客が寝ているのはその場所だが、体は湯で、顔は光で温められてまことに気持ちよさそうだ。いいなぁ、と思いつつ、まぁ隣でも良いかと寝風呂に向かう。
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恍惚の表情で寝ていた男性、ふと私の気配に気付く。何か見てはいけないものを見たような表情で、ご親切にも場所を譲って出て行ってしまう。人の好意は無にしてはならぬから、ありがたくその場に体を横たえる。
寝風呂の浴槽には、あちこちから噴出する湯のノズルが仕込んである。とりわけ、土踏まずに当たるよう吹き出した流れは、まことに心地よく体を刺激する。構造材のスキマから差し込む日の光も、ささくれ立ちっぱなしの自我を安らげるには十分だ。
首をねじ曲げて滑走路の方を見る。浴室を一歩出るとそこはテラスで、テラスの真ん前は駐機場だ。ぽつ、ぽつ、と発着する便が行き来しているが、おおむねANAの国内線と見える。ゆえに飛び回っているのは737君が多い。羽田を発つ直前に見た、ぴかちう号はやって来そうにない。
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では飛行機でも眺めようかと外に出てみる。むろん生まれたままの姿である。兵器をぶらぶらさせて扉を閉めれば、危ないものは見せられないよう、肩あたりの高さまで塀で囲ってある。しかし一部はガラスになっており、世界のみなさんコンニチハ、が出来そうに見える。少なくとも浴室からは確かにそう見えたが、近付くとそれは特殊なガラスであるらしい。微妙な偏光をかけてある。
気温は暑くも寒くもない適温だが、海中の人工島だけあって、風が強い。誰でも飛べるよ! と英語で派手に書かれたエアアジアが、着陸からピットにつけるまで一連の動きを見ていると、右手にANAのプロペラ機が1機、片方だけペラをくるくると回しているのに気がついた。
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画像出典:wiki
あまり詳しくはないのだが、あれは多分、ボンバルディ君であろう。飛行機を眺めるのはたいそう楽しいが、プロペラ機は一層楽しい。ハイテクのカタマリみたいで、それゆえ無機質を感じさせるジェットと異なり、いかにも機械でございます、という一生懸命さが面白いからだ。
もっともペラ機とはいえエンジンはタービンだから、ジェットと異なるところはほとんどない。見た目が重要というこの世の道理を思う。思えば程なくボン君は、左舷のペラをも回し、どこかへ飛び立つと見えた。おお、もっとよく見ようと思うが、ガラス張りの所からは建物が邪魔してよく見えない。何かいいものは、と物色していると、階段式の踏み台が、テラスの一番出っ張ったところに置いてある。
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おそらく、見えないよ-、と泣く子を抱えて、飛行機を良く見せてやろうとするお父ちゃん専用のこしらえなのだろう。誰もいないのを幸い、このオッサンも図々しく利用させて貰う。一番上に上がれば腰まで塀から出るわけで、さんさんと照る陽光の下、やはりコンニチハをする仕儀と相成った。
すでにここにまで、ぶぅーーーんというペラの音が響いてくる。しかし変だナと思ったのは、ボン君を引き出すべきトラクターがやってこないことだ。すでにボーディングブリッジも機を離れている。どうするのかしらと見ていると、何とボン君、その場でくるりと方向を変えた。まるで戦車の超信地旋回みたいにである。


おおー、すげー。さすがはボン君だ。いずこかへと飛び立つボン君を見送って、一旦浴室内に入る。
すでに誰もおらず貸し切り状態。電気風呂にビリビリしびれつつ時計を見上げれば、まだ11時前でしかない。予定を考え合わせれば、セントレアを去るのは12時半ぐらいになる。あと2時間近く、このお風呂で粘るつもりだ。
また客がやってきたり貸し切りになったり、外でコンニチハをしたり、ダラダラと時間をつぶす。
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