(25):へびとかえる

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9/9の1132、ほぼ定刻通り船出したおーしゃん・いーすと号に、私は乗っている。
1230が近付く頃、そろそろ昼飯にしようと食堂に出かけたら、たくましげな若者の集団でそこそこ混んでいる。どこかの部活か、体育会か。
若者たちは一様に、紺色のTシャツを着て、その背には「この世を花にするために」とか、「**魂」とか書いてある。うむ、やはり体育会か。もと体育会系の私としては、何部だろうかと想像する。
よく見ると若者の一部には、Tシャツに抱き茗荷の紋を染めているのもいる。

抱き茗荷と言えば佐賀鍋島、まてよ、地色の紺といい旧大名家の家紋を染めていることといい、これはもしや、と思いつつ、空いた窓際の席に向かうと…。
ややや、やはりいかん。
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背なのマークは過たず、乗客が車両甲板の、ああいうオソロシげな車々だけでなく、その乗り手込みであったことを物語る。
よく観察すると窓際は、先輩格が座っているようで、若者連はそのそばを通り過ぎる毎、小さく頭を下げ挨拶をする。普段ならもっと大きくやるところなのだろうが、一般客の前で、目立つようなことをするなとお達しが出ているのだろう。
ここで鷹揚に挨拶を受けているのが先輩格だけと言うことは、もっと上の連中は、飛行機か何かで移動しているのだろう。事実、その先輩格も皆、私よりぐんと若い。うん、そこは予算に縛られる組織だけのことはある。
私はと言えばそんな集団の中で小さくなって、まるで取調中の官弁みたく、カレーをこそこそと食うことにする。手元のレシートによれば¥400、官弁にしちゃ高価だが、味なんざもう覚えてはいない。
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そそくさと食堂を出て外の空気を吸いに出る。
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(1315)
船はそろそろ、紀伊水道を抜ける頃。昨日足を止めた、蒲生田岬とその先の伊島を見送る。
さて、昼寝でもするか。
zzzzzz……..
18時を過ぎて目が覚めた。
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(1825)
声がするのでふと頭を巡らすと、例の若者の一団が、一つ上の甲板から下がる船板に、つかまって懸垂のやりあっこをしている。
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そりゃあそうでしょう、普段鍛えに鍛えている体を、北九州からならまるまる2日、船旅の無聊で持て余すのは無理のないことだ。
1830ごろ、することもないので夕飯にする。
食堂は相変わらず、例の一団で混んでいる。
メインは食堂の牛丼、やはり¥400。それと持ち込みのスープ。
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食堂の食器はいずれも、炊き出しのような使い捨てだ。洗い場を設置し洗う人員を確保するより、この方が経費節減になると言うことであろう。
フェリーを運航する船会社はどこも、苦しい。耐えて生き残ってくれればと、真摯に願う。
食後、やはり外に出る。陽が落ちて空は曇り気味、あまり星空が楽しめそうな模様ではない。
若者連はまたも、懸垂のやりあっこで腹ごなしをしている。
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もうしょうがないから寝てしまおう。
カーテンを広げ、簡易な個室で目を閉じた。
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