(21):人馬一体

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9/8の夜が明けた。
ここ奥物部から、東京への船が出る徳島までは、素直に行けば130kmほどである。
地図奥物部徳島
道路が整備されてないゆえ、重戦闘機でも時間はかかろうが、ツーリングライダーにとってさほど長い距離ではない。
無論私には、素直に行くつもりはさらさら無い。ただし目当ての剣山林道が不可と言うことで、さてどこに行こうか、パパッと思いつくことが無くて、思案のしどころでもある。
思案しながら、いつも通り茶を沸かし飲む。
この旅で、ガスバーナを使ったのはこれで最初で最後。
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ついでに、林道に備えて昨日買った、非常食代わりのビスケットも食うてしまう。
さて出かけよう。
その前に、ゴミでも捨てようとするが管理棟は閉まっている。昨夜の話では開けそうな雰囲気だったが、それは私の思い込みだったようだ。
やむなくゴミをメイト君に積み、部屋にカギ差したまま、0924、奥物部を去る。
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ここからは淡々と、R193を行くことになる。徳島高知間を結ぶメインルートとあっては、道はおおむね2車線、深い谷間を川に沿って進む。
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雲はいよいよ厚い。いつ降ってもおかしくないが、とりあえずは雨具を着ずに進んでいく。
やがて四つ足峠のトンネルを抜け、土佐に別れを告げ阿波の国に入った。
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ツーリングマップルによれば、このトンネルの真ん中には、国境のお地蔵様が祀られていると言うが、それは見逃してしまった。
トンネルを抜けてまもなく、通るはずだった剣山スーパー林道の入り口が見える。あれこれと丁寧に看板が立っているところを見れば、徳島県にとってはこの林道、小さからぬ観光資源と見た。
一旦国道を外れて、一応、寄ってみる。
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無論通行止め、期間未定。
だが、いつかきっと来るぞ。
またR193に戻り、気配少なき道を坦々と行く。
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やがて雲間が晴れてくる。時折お天道様が差したりもする。
おおむねメーター読み60km/h程度、アクセルは七割と五分。乗騎と対話しつつ進んでいくと、この速度この回転数が気持ちいいッスと、メイト君が答えを返す。ガバガバ開けてもガスの無駄、エンジンの鼓動を感じながら、主従共に気持ちよく道をゆく。
人馬一体。メイト君の向きたいところが私の行きたいところ。
この心地よさ、伝わるだろうか。


≫動画、もう一丁
私はバイクの走行距離も乗車歴も、決して短いとは言えないが、メイト君を乗騎にして初めて、騎(の)る、とはどういう事か分かったように思う。
長安口ダムを越え、細くなった川が再びダムで膨れる頃、道の駅もみじ川温泉の看板が見えた。
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お天道様のご機嫌も良い。今日はこれと言って目的地はなく、急ぐ旅では全くないから、ここでゆっくり湯に浸かることにしよう。
館内に入る。実に良く手入れされている。職員さんもいらっしゃいませと、客あしらいがほどよく行き届いている。
¥500払ってお風呂場へ。私が入ったところで服を着ている先客がただ1人あり、それゆえこたびも貸し切り状態。
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露天風呂から眺める景色は、雨上がりのダム湖ゆえ、湖面こそ美麗とは言い難いが、対岸の山上にコテージの建てるあり、山水としてはなかなかの見ものである。
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湯を堪能して廊下に出れば、結構な乾燥機が置いてある。
結構と言うにはわけがある。普通のコインランドリーに置いてある乾燥機は、ツーリングライダーにとっては大きすぎる。対してこの機はちょうど良い、それゆえ代価も良心的だ。
メイト君に駆け寄って、昨夜の洗濯では乾かないまま、袋に詰めた洗濯物を取り戻り、からころと機械を始動させた。
時刻はちょうど正午だ。お土産物コーナーを見れば、少女マンガっぽい安徳天皇と、平国盛(教経)のポスターが。
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一説には、屋島で破れた平家一門がこの教経に率いられ、みかどを奉じてこの地に落ち延び、さらに追われて祖谷の山へ、と聞く。
享年26。幼い主君をかばいつつ、滅びなんとする一族を支えて奮戦する勇士というのは、確かに絵になる。
しかし安徳帝はいいとして、かかってきた筋肉ムキムキの敵兵二人を、ギリリと両脇で締め上げ、お前らワシの冥土の供をせいと笑いながら、そのまま海にドボンとか、とんでもない暴れ者で知られる教経が、こんなやさ男なわけないよねぇ。
加えてここは阿波の国、その敵兵が土佐出身というのが、また何とも。
やがてとっくり確認することになるが、徳島は萌え萌えで県興し市興しをしようとしており、その一環と私は想像した。
乾燥機回してるの私ですからね、とカウンターに一声かけて、食堂に向かう。
清潔感のある食堂には、私好みの美少女が、銀のお盆持って立っている。
メニューを見れば、これまた私好みの鹿肉が、カレーとなって提供されるという。
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迷わずそれ注文、¥1050。
湖畔の景色を眺めやる。
こうべを巡らせてこの宿の建物を見れば、厨房でせっせとおやじさんが、鹿を料理(りょう)るのが見える。
視線を上げれば、泊まり部屋のそれぞれが、きちんと整頓されているのも見える。
ここで地図を開き、さてこれからどうしようかと考えていたら、美少女が水を注ぎに来ることたびたび。
四国で一番人のいいんは徳島ぞ、と言った、愛媛在住・土佐山内家の末裔である、件の先輩の言葉を思い出した。
ほどなくカレー到着。
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こう言っては失礼だが、鄙(ひな)にはまれな、手の込んだ盛りつけだ。
すっかり堪能して、洗濯物を仕舞い外に出る。
出がけにこの宿のパンフを貰い、見れば宿泊も手頃なお値段だ。
よし、いつか剣山林道にリベンジする際には、この宿をねぐらにしよう。
始動一発、エンジン快調。
目指すは蒲生田岬、四国最東端と決まった。

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