(19):天気は下り坂


9/7の昼下がり、私とメイト君は安芸市にいる。
高知から真っ直ぐ国道に入り、今夜の宿である奥物部を目指すのがまっとうなルートだが、遠回りした上、恐ろしげなウネウネ道をも覚悟してここに来ているのは、ここに来ましたというアリバイ証明みたいなものだ。
確かに安芸市街は、海沿いの国道を何度も通過はした。通過しただけでは行ったことにはならないだろうなァーという、普通の感覚ではどうでもいいことのために、こうしてぶらぶらしているというのは、まさにぶらぶらを許された、今この時だけの特権というやつだ。
さて、至ってはみたものの、本当に人がいない。ぽっかり広がった秋の空に、多くなり始めた雲が流れているだけである。前回の野良時計近く、珍しいアイスを食わせる店があるというので寄ってみると、あるにはあるが誰もいない。営業してないわけではなさそうなので、首をかしげつつ敷地内の道の駅っぽい建物に向かう。
K0010166.jpg
(1444)
入ればやはり誰もいないが、奥から物音がする。すみませーん、と謝ると、奥からおばちゃんたちが出てきて相手をしてくれた。
おばちゃんに連れられてアイス屋に歩く、おばちゃんは裏口から、私は表から。よく分からないがショウガとナスのアイス組み合わせを頼んだ。
K0010165.jpg
うん、ショウガだねぇ。ふむ、ナスかねぇ。
食い終わって川沿いの道を北上する。日も傾き始めたことだし、あまりのんびりもしていられない。
R0011386.jpg
(1452)
正面に控えるあの山々を、これから越してゆくのだ。
抜けるのは県道212→210、その先は林道を経由する。ダートであるという情報はないが、いずれ険しい道であることは容易に想像できる。
地図安芸物部
走り始めて山峡に入れば、想像通り道は細くなる。
R0011391.jpg
細くなるだけでなく、そこへダンプが走っていたりもする。
こんな所へあの巨体を乗り入れるのだから、並みの運転技量では無理だろうなと想像する。距離を置いて続行するが、やはりさっさと譲ってくれる。
しかし譲ってくれても実のところしょうがないわけで、というのも、例の1時間のうち50分台だけ通すというあのトラップが、待ち構えているからであった。
R0011393.jpg
(1520)
当然、工事車両であるダンプはここを抜けて先に行く。
2カ所のそういったトラップで、おのおの10~20分程度待つ。雑談ついでにこれから通ろうとする道のことを、おいちゃんたちに尋ねるが、地元の人でさえよく知らないという。ひぇぇ。
集落も何にもない峡谷を抜けると、ぽっかりと視界が開けた。ここは畑山温泉と言い、土佐ジローなる珍しいニワトリの料理で有名だという。
R0011396.jpg
(1550)
この道を真っ直ぐ行っても林道、曲がっても林道。右手はダートであると分かっているから、左の道を選ぶ。
R0011398.jpg
もはやダンプもおらず交通量は絶無、森はいよいよ深く、もののけ姫が出てきそうな山の中である。
鳥瞰畑山T
出てきても別にかまわないのだが、松本センセイと宮崎アニメは、ヒロインがみんな同じ顔をしているから、せっかく出て貰ってもそれと分からないかも知れない。
樹木に覆われたトンネル(G)を抜け
R0011399.jpg
小さな滝などを眺めつつ、苔のマットが敷かれた森の中をゆく。
R0011400.jpg
ようやく森を抜け、集落に近付いたところで、メイト君はゾロ目になっていた。
R0011401.jpg
(1636)
よっこいしょ、と国道に上がれば、目指す奥物部はもうすぐだ。
R0011402.jpg
(1644)
今夜はテン張りではなく、宿を取った。ライダーズインの一つ、奥物部だ。マシンと一つ屋根の下で寝られるというのは、なかなかの魅力である。
あれは15年ほど前だったか、高知県の各所にそのようなライダー向け施設が出来たと聞いて、やるじゃん高知、と思ったものだ。ただし利用することなく今まで来てしまったゆえ、一度見てみようという好奇心である。
R0011409.jpg
もう1つある。
ここ奥物部から先に、剣山のすぐ際を通って徳島近くまでに至る、剣山スーパー林道がある。全長100kmというその長さは、無論日本最長である。明日そこを通るからには、今日は大事をとろうと思ったのだ。
さて、ハテどこだろうと現地近くをうろうろするが、それらしきものが見当たらない。見当たった観光物産屋の店先をひょいと眺めると、ライダーズインのHPに載っていた管理人によく似たおばさんが座っている。
メイト君を降りて尋ねてみると、果たしてそうであった。
しかしチェックインまでにはまだ30分あるという。ここまではすでに分かっていたことゆえ驚かない。
続けておばさん若干気色を含めて、ここの店番もしなけりゃいけない、会計もしなけりゃいけない、だから30分待て、それまでに食材を買ってくるといい、少し先の集落に店がある、と一気に言った。
はぁそうですかとそれなる店、大栃スーパーに行く。これと言ってぞっとするような物は売っていないし、少々くたびれたゆえ、火を熾してさぁ炊事、という気も起こらない。テケトーにビールと非常食っぽいのを買って出る、¥888也。
何か食わせる店はないのかと思うが何もない。おばさんが番をしている物産館は、HPによれば食堂を兼ねているはずだがと思うが、あの様子では無理そうだ。ではメイト君の腹だけでも満たそうと、1軒だけあった、閉店間際のガススタンドに寄る。
1700ちょうど、エネオス大栃、オドは7784.4km、3L、¥447。
おいちゃんに、どこかで飯は食えませんかと尋ねると、すぐ下のJRの駅で食えるという。もう一軒は閉まってるからね、でも駅も急いだ方がいいよと言う。
この山中に駅とは面妖な、と思えば、それはJRバスの駅だった。
お兄ちゃんが店じまいしようとしているその時に、済みませんがと頼めばさぁどうぞと招じ入れる。
R0011403.jpg
(1703)
やれ、助かった。

スポンサーリンク
スポンサーリンク



スポンサーリンク



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク