(11):見近島の夜

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見近島2日目の、陽が落ちる。
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それを迎える前、地元のライダーは一人また一人と帰っていく。
Iさんも、まだ陽が明るい頃に去っていった。これから宇和島の友達の所へ、と言って。
んん?う、うわじまあぁー!?
…ここ見近島から、150kmはあるぞ!! すんげー。
今夜もガスでなく、拾い集めた枯れ枝や落ち葉で炊事する。
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独り火を焚いていると、人は独り、それがいいのさ、ということがよく分かる。
天界の法たる、大自然の数理とつながっているという感覚も。
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 抑(そもそ)も此(こ)の九去堂は
 忠を勤むべき主もなければ 憐れむべき妻子もなし。
 こころは墨に染めねども
 髪結ぶがむつかしさに つむりを剃り、
 手のつかひ不奉公もせず、メイトの騎り馬小揚やとはず。
 三年の蓄えなければ七年のローンも組まず。
 雲無心にして岫(くき)を出(いず)るもまたをかし。
 世間に心なければ、AKBもエコロも苦にならず。
 寐(ね)たき時は昼も寝、起きたき時は夜も起る。
 九品蓮台に至らんとする欲心なければ、八萬地獄に堕つべき罪もなし。
 生きるまで生きたらば、死ぬるであらうかとおもふ
 (前田慶次郎利太『無苦庵記』もじり)
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海は静かに音を立てている。
眺めれば、対岸である伯方島の、造船所や道の駅の明かりが煌々と。
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空はかなり曇っている。
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ラジオが、瀬戸内地方に大雨・雷注意報を伝えている。
岸壁に腰掛け、満ちてきた海を眺めてみる。月と潮が、密接に関係していることがよく分かる。
と気付けば、なにやら海中に、点々と光るものがある。目が慣れてくると、それは湾内一杯に広がっていると分かった。
たとえるなら、こういう景色だろうか。

(C)http://ryutao.main.jp/photolibrary_free_nightsky_12.html
これは拾いもののすばるの画像だが、ここまでつぶつぶは多くなくとも、まさにこのような青色の光が、ほのかにほのかに、海に満ちていた。
びっくりした私は、地元松山に住む、学生時代の先輩に電話を掛けた。
何でしょうこれ、と聞けば、それは海ほたるじゃ、貝の仲間ぞ、と教えられた。オスがメスを寄せようと、ぴかぴか光るのぞ。
改めて良く見れば、同じ光度でぼぉーっと、おとなしく光っているのが居るかと思うと、全く光を出さないでおいて、時折ピカー、ピカーと光るのが居る。おとなしいんがメスで、ピカリがオスじゃ、と先輩言う。
ついでに、海ほたるが居るところには、ウミケムシちゅう凶暴な奴がよぉおるけん、気ぃつけろ、と後日アドバイスされた。


ウミケムシ。
海中の砂に潜んでおり、体毛には毒がある。
刺されると毒が注入されるので、毒針を抜いても毒は残る。
うっかり水槽に入り込むと、あっという間に繁殖する。
しかも増殖速度が速いので、完全には駆除できない、という凶暴な奴。(画像はwiki)


いつまで眺めていても飽きない景色だが、そこそこに切り上げてねぐらに籠もる。
レースの窓から、伯方島を眺めつつ焼酎をグビグビやっていると、時間が来たと見えて、造船所や道の駅の明かりが落ちた。
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と今度は、今北海道を旅行中の友人に電話がつながる。
その実家は今治、すぐそこだ。
すげーよ海ほたる、と言えば、初めての北海道の景色に、いろいろ圧倒されたと言う。
荒涼たるものだろ、と言えば、おお、ブラキストン線だ、あれは人を拒否する景色だな、昔言ってたことが分かったような気がする、と言う。
彼も私同様、食い道楽の旅を楽しんでいるらしい。
お互い良い旅を、と言って電話を切る。
今日は時間の流れが速かった。
あすもまた、速いのであろう。
(本日の走行距離:11.34km)

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