(9):楽園見近島の一日


9/2の夜が明けた。
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ピーカンとは言いがたいが、まずまずのお天気、海は凪ぎ。
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チャプンチャプンと言う海の音を聞きながら、枯れ枝で茶を沸かし飲む。
ところでテントだが、今朝早くこの近くにテン張りしていた旅人が去ったため、海から3歩半の藤棚の下に移した。奥の木立、どうも蚊が多かったんだよね。それに目の前は海、というのは、山育ちの私にはうれしい環境だ。
ここに長らく居着いている旅人で、事実上管理人を任されている方と雑談する。
その話しによれば、見近島は元々、架橋の際、工事の方々の休憩所として、本四連絡公団が整備したという。
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工事が終わった後は一般に開放したのだが、旅人のみならず地元の人たちも、楽しい休日を過ごしに、船でやってくるらしい。
滞在中、さすがに船は来なかったが、橋の方からぽこぽこと、聞き覚えのある音が近付いてくる。
見ればカブ110プロ初期型に乗った、地元の原チャライダーだった。
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そのナンバープレートは何とも小粋。上部は波形にカットされ、しまなみを渡る原チャが描かれている。
このIさんと、岸壁に腰掛けながら雑談をする。
地元原チャライダーにとってこの島、のんびり過ごす格好のオアシスとなっており、毎週やってくるのだという。もう少し待てば、いろいろな原チャライダーが、同じようにここへやってくるよ、とも。
岸壁からふと海を見れば、クラゲがプカプカと浮いている。
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クラゲは体のあちこちから、豆つぶほどのこぶをたくさん、突き出したり引っ込めたりしながら漂っている。まことに面白い。生きて、動いているクラゲを間近で見るのは初めてだ。物珍しく見ていると、これはエチゼンの子、とIさんが言う。
そうこうするうちに、Iさんの言葉過たず、原チャリライダーが何人かやってくる。
釣りしに来た人あり、ワシらのようにのんびりしに来た人あり。
おおむねIさんとは顔見知りらしく、互いに挨拶を交わしている。
そのうちの一人、メイト君を見て、
「(東京の)A市ぃ~! ウソじゃろ-!」
と目がまん丸だ。
ここ見近島では、何もすることがない。いや、何もしなくてよい、したいことだけすればいい。
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しなくて良いからこそ、時間が早く過ぎていく。のんびりを堪能できるから、あっという間なのだ。
あっという間であるだけに、あっという間にお昼になる。
そろそろ買い出しでも行こうかと、となりの伯方島にメイト君で向かう。
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伯方島は、伯方の塩の発祥の地だ。同じく今治市に属していて、見近島とは、船も折れるという急流、船折瀬戸を挟んで浮いている。この潮流の複雑さが、かの海賊村上水軍を、この島々に生むことになったという。
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しかし現代の船は、その急流をものともせずに進んでいく。
Iさんに教えられた通り、伯方橋を渡って左手に進む。トコトコと行けば集落があり、コインランドリーを併設したスーパー、伯方ショッピングセンターがある。入ればかなりの大きさで、品揃えも豊富だ。東京あたりの店舗と比べても、全く遜色はない。
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というか、島の人々の生活を考えれば、この充実さは当然である。訪れたしまなみの島いずれにも、こうした大型店舗と、DIY屋さんが必ずあった。
地物のぶり、その他食材・酒・氷等を買い込んで見近島に戻る。気分がいいので、ビールは奮発してプレミアムモルツだ。こういう時に呑まないで、どうしようぞ。¥2555也。
これが伯方島からの、橋への入り口だ。
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戻って早速、炭火でブリをあぶる。
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しばらくすると、シー、という音を立てて、うまそうなニオイが立ち上る。
地元の醤油つけて、焼き上がったブリをほおばる。
うまい。ビールに合う合う。
天気はいよいよ晴れ上がり、海風がそよと吹き抜ける。
こんな時を過ごすためなら、何でもしようかという気持ちになる。
-----—
 適彼樂土  彼(か)の樂土に適(ゆ)かん
 樂土樂土  樂土よ 樂土
 爰得我所  爰(ここ)に我が所を得ん
 『詩経』:魏風
-----—
気付けば潮はだいぶ退いており、目の前に砂浜が現れた。
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これはもう、見近島に居る者のための専用ビーチだ。Iさんに聞けば、もちろん泳げますよと言う。事前の情報では、9月に入ると伊予の海は冷たく、泳げないと聞いていたのだが。いやそうじゃありません、これからが、一番泳ぐにはいい季節です、とIさん言う。
泳ぎに全く自信がない私は、Iさんに伴われて海に入った。
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ね、冷たくないでしょ、とIさん。気温の盛りと、海水温の盛りには、時期にずれがあることを肌で知った。
海から島を見上げる。水の感覚が心地よい。
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地元の人には、何かとその当否について議論が多いと聞くが、まろうどにはまことにありがたく、見て楽しい橋である。
海を十分に堪能し、陸へ上がる。
Iさんは持参のハンモックを藤棚にしつらえ、ゆらゆらと風に揺られ始めた。
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うっうっうっうっ、うらやましー!
…来年は私も、ハンモック持って来るぞ!
私は私で、海を眺めてぼんやりしよう。
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そうこうするうちに、広島の方角からなにやら爆音が集団で聞こえる。
うぉんうぉんうぉん。ぶぅぼぼぶぅぼぼ、ぱからぱからぱから。
橋の上で鳴っているわけだから、音はすれども姿は見えず、ホンにお前は屁のような。
ああ、バカが来ましたね~、とIさん共々笑う。
この島へ来たら面倒臭いな-、持ってきた伸縮杖の出番かしら、そういや四国上陸以来稽古してないから、体ほぐすのもいいかな、と思っていたら、四国の方へ音は去っていった。
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バカと縁がなく過ごせるとは天国じゃ。
のんびりするとしよう。

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