(3):心ゆくまで鉄分を


8/31、本日の予定は、奥祖谷(B)で下記の通り、鉄分を補給したあと、周辺の峠(京柱峠、C)や林道を巡り、標高1400mある梶ケ森山頂付近でテン張りすることである。事前の情報によれば梶ヶ森は、無料のキャン場である上、晴れていればものすごい星空が見えるという。
地図祖谷新居浜
ご覧の通り、実はこの予定通りにはならなかったのだが…。
朝食前、ふらふらと外に出た。
昨夕はおかみさんに、かずら橋を見ていかないかと勧められたが、くたびれているからまず風呂とメシ、と言った。重ねて、昔渡ったことがありますから、あす朝見るだけで、と答えたものである。
宿からやや道を下って、かずら橋と平行する、車の通れる橋から振り返ると、天空の集落がそこに見える。
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視線を戻してかずら橋を眺める。深い峡谷にかかる素朴な橋は、やはり風情がある。
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思い立って橋のたもとの、鬱蒼とした森の小道に入る。かずら橋の渡り口に至る道だ。
その前に家族に電話しようと、小道入り口の電話ボックスに入る。当然、ウィルコムは圏外だからだ。
しまった、テレカは持っていない、そこで10円玉を入れてみるが戻ってくる。では別の玉をと入れてみても、これも戻ってくる。試すことしばし、電話はあきらめた。
橋に至れば料金所がある。まだ6時半だというのに、おじじが番をしている。どうせならということで、¥500払って渡ることにした。
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かずら橋は、♪風もないのにゆらゆらと、と歌われている。
今は風はない。そして揺れない。揺れないがうっかりすると、足ごと踏み込んでしまいそうな隙間が空いている。
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人は怖ければ注意する。断崖に落ちて死ぬ者は少ないが、水におぼれる者は多いという、韓非子の記述を思い出す。
よく見ればこの橋、かずらだけでなく、鋼鉄のワイヤーで補強されているのが見て取れた。
てくてくと宿に帰って朝7時。早くに用意して頂いた朝食を摂る。
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ツーリング中はいつでも飲めるよう、小さめのペットボトルに水を入れて持ち歩く私だが、それを見たおばあさんが、「水ですか、焼酎ですか?」と聞く。水ですと答えると、しばらくしたまた同じ問いが。同じく答えること3度。なんだかお釈迦様の問答のようで、笑って私は答えた。
0745、支払いを済ませて出発。2食付き1泊¥7000、瓶ビール代金¥500也。
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とりあえず目指すのは、奥祖谷観光周遊モノレールである。
県道からR439へ入る。
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この国道、現地では与作(439)と呼ばれ、徳島から四万十まで、四国を横断する長距離道だ。しかし所によって細いは荒れてるはで、名にし負う酷道として有名だ。
私は初めて四国を訪れた若い日、この道を自転車で峠越えしたゆえに、何かと思い出深い道でもある。
左様、ちょっと油断するとすぐこのような細道になってしまい、車との行き交いにメイト君でも苦労するのだ。
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だが、これでも与作にしては上出来の方。いずれそれを、さんざん思い知ることになった。
道を行くこと1時間弱にして、目指すモノレールに到着した。
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さぞかし混むならんと想像し、開店一番目指して着いたのだが、客らしき人は一人もいない。
このモノレール、果樹やお茶の栽培地でよく見る、いわゆるみかんモノレールである。それを大いに改良し、客を乗せ、標高1400mの高みにまで連れてってくれるという。ワゴンは2人乗りであり、当然運転士も車掌もいない。1周するには約70分、その間たっぷりと森林浴が楽しめるというわけだ。
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私は四国を訪れるたびに、そのあたりの路傍から山に向かうみかんモノレールに、一度でいいから心ゆくまで乗ってみたいと、かねてより願っていた。それがこのように客向きに整備された路線があるとは、ツーリングの直前まで忘れていた。
今日は私の独り占め状態。こりゃありがたいことだと喜ぶも、様々な情報が示唆するように、このモノレール、一体いつまであるか分からない。鉄ちゃんでもある私としては、今のうちに乗っておかなくちゃと、旅路に加えたわけである。
駅舎なる建物に向かうと、数人の職員さんがニコニコして出迎える。まことに客あしらいがよろしい。70分身動きが取れないのだから、トイレに行っておかなくちゃと垂れておき、ワゴンに乗り込む。
それでは行ってらっしゃい、との声と共に、ガコンとワゴンが動き出した。


これの動画は、ようつべにいくらでも転がっているので、私のちょぼちょぼと。
とんでもない勾配を上り下りするたびに、座席が自動で前後に傾く。タイミングとかの制御はどうなっているのだろうと思ったが、あとで聞けばセンサーによると言う。

走行中は普通の鉄道のごとく、ガタンゴトンと音がする。ゆっくり進むこの速度、かつてのローカル線のディーゼルを思い出させて、鉄の私は愉快愉快。
路線は始め、帰りとの複線である。あかがね色の3本線は、あとで聞いたら想像通り、3相交流の架線だった。
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複線の先がループになっており、後ほどこのとなり線を、私は下ってくることになる。
振り返れば奥祖谷の集落が、山の高みまで点々と、張り付くようにあるのが見える。
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この路線だが、基礎工事はそれこそ仮組の鉄パイプの如き構造だ。
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パイプの根元も地面に植えてあるわけではなく、円盤状の足が地に着いている状態。もっとも、普段乗る鉄道だって、枕木は地盤に固定されているわけではないから、これでいいのだろう。
それにしてもこんな山奥の急斜面に、よくもまぁこんな工事を施したものだ。1回乗るには¥1500だが、それで元が取れるのかしら。
乗ること30分ほどにして、1400mの最高点に近付く。それまでの急勾配が、やや平坦となる。

晴れていれば剣山その他、四国の山々がよく見えますよ、とのことだったが、ご覧の通りの曇り具合。まぁ、これはこれでよし。
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ここからは下りとなる。
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肝が縮むような急斜面を下っていくが、これでも40度程度なのだという。スキーをやる友人が、30度と言えば感覚的には垂直だ、といっていたのを思い出す。
終点=始点に戻るころ、傍らにメンテ用の車両を見送る。そりゃそうだわな、歩いて救出とかメンテとか、出来るような斜面ではない。
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時間通り、駅舎に戻った。
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気さくな職員のおじさんたちと、電源や制御について雑談する。それにしても、帰ってきても誰も乗り込もうとする人がいない。ここは温泉施設と併設なのだが、この賑わいの無さは心配になる。末永く残って欲しいものだ。

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