(10)


夜が、明けた。

とは言ってもすでに0830過ぎ、テン寝でこんなに遅く起きたのは初めてである。
テントはまさに幕舎ゆえ、光を良く通し、お天道様が上がるとまぶしくて、とても寝坊は決め込めない。だから早朝に目が覚めてしまうのだが、初の冬テン寝とあって、お天道様のおいでが遅かったわけだ。
昨日はついつい夜更かしし、その後はウトウトして過ごしたのだが、私が起きることにしたのは、お天道様と言うより今朝着の夜行便で来たと思しき方々の気配である。同世代の男性が1人、チャリに乗った若いカップルが1組、すでにテントの設営を始めている。カップルはゴアライト(防水透湿のゴアテックスでできた、軽くて取り回しのいいテント。それだけにお高い)にタープ、おー、いい装備してんなー。
さて男性の方はとひょいと見ると…

あちゃー、ご同学かよ。数だけはやたらいるからね、犬も歩けばWに当たる。あたしもね、在学中はバイクにこの旗はためかせてツーリングに行ったことあるよ、でもその後はしてないな。今日だってグッズ持ってないことはないが、人サマに見えるような所には置いてない。
ま、一応挨拶しとこと思って、おはようございますのついでに○○年の一文です、先輩は? と聞く。
なんでもハコネ駅伝の応援のために旗掲げたんだとか、ま、照れでしょうね照れ。
(そして駅伝負けちゃった…。)
メシの支度をする。

とは言っても、バッグの中で圧縮されてセンベイになったクロワッサンとお茶だけだから簡単だ。お茶だけは好みのアールグレイだが、あとは質素にと言うことで。
相変わらず風が強いし、ケシュア君には前室がないから、自作のニセテンチョ張って食堂を設営。キャン場が広いから、こんなぜいたくも出来るわけだ。
昨夜よりケシュア君の張り綱が増えてるのは、岳人でもあるOさんのご教示で、長辺方向に増やしたため。これで格段にばたつきが減った。なお下に敷いてあるグランドシートは100均のドカシー。消耗品だからね。

食事を終えて、キャン場周辺の散策に出る。
このトウシキキャンプ場は、海を望む断崖の上にあって、防風林を抜けるとすぐに海が見える。

海上遙かには利島と式根島、そして新島。うっすらと三宅島も見える。

今朝は雲が多そうだが、昨日みたいにお天道様が晴らして下さるのだろうか。

首をおかに向ければ御神火様。さぁ、今日こそはその頂点にお伺いします!

ゆるりとすごして1030、メイト君と共に御神火様へと向かう。

両側は延々と椿の木。私もこの島に住んで、椿の実拾って生活しようかしら。あとはちっちゃな畑で芋でも植えて、晴耕雨読とか。そんな生活、早くしてみたいなァ-。
昨日と同じく、バウムクーヘン抜けて、三原山登山道へ。

1110ごろ、御神火茶屋駐車場着。今日は時間が遅いから、休憩所やトイレは開いていた。昨日の教訓から、防風防寒対策はばっちりと。まるでヒマラヤかあるいは銀行強盗に行くかのような姿に変身。

そんでこの銀行強盗、駐車場わきのハコの前を通過する。杖も2本持ってるから物騒と言えば物騒だ。ところがハコ前に立ったタッパのあるかわいらしい婦警さん、ニコニコしながら行ってらっしゃいという。こちらもおはようございますと挨拶する。
ま、場所が場所だからなんだろうけど、これ新宿か大手町でやったら、確実にしょっ引かれますよ。
外輪山越えて今日は過たず左に行くと、観光用のお馬が草を食んでいる。看板によればこの子たちは日本の在来馬?だそうで、とても人なつっこいという。しかしお食事中を邪魔しちゃいけないから、写真を撮るだけで失礼する。

てくてくとお山への道を行く。途中で通りすがりのカップルのシャッター押したり押して貰ったりしながら行く。内輪山の麓までは、実に平坦な道だ。
やがて道は上りにさしかかる。

ストック2本突きながら、ひぃひぃ言って登っていく。先ほどのシャッター知り合いのカップルとは、抜きつ抜かれつ。巡航速度は私の方がはるかに速いが、休む時間が長いのだ。男の子は女の子を気遣ってゆっくり登ってるんだろうけど、休みの間に抜かれるというのはやや悔しい。やはり山は自分のペースで、たった一人で登るものだ。
ストックの効果は偉大である。平らな地面を歩くなら兎も角、動物はやはり4本足だと痛感する。それでもつらいが折り返しのところで、ちゃんとお休み場が用意されてい、ハゲます看板さえ立っている。

30分ほどかけて1140ごろ、ようやく内輪山の際にたどり着く。まずは御神火様のお社にお参り、ご挨拶を申し上げる。ただし投げ銭はしない。
たびたびの噴火でも、ここだけは焼けないんだって。神の座(かんのざ)というのはここかしら。

さて内輪山のお鉢巡りは緑の実線、左右どちら回りでも回っていける。加えて火口を見る行き止まりのコースもある。緑の点線のがそうだな。

どうせのことなら全部見ようというわけで、私は右に回って、点線コースへと歩み出す。

雲が、多い。
(つづく)

スポンサーリンク
スポンサーリンク



スポンサーリンク



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
スポンサーリンク