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かつて佐渡へ渡るためだけでなく、北前航路で越後有数の港は、出雲崎だった。そこは良寛さんの故地でもある。今は至近の寺泊が、佐渡への拠点となっていることは前回書いたとおり。
私は司馬先生ほどの教養はないから、ここで歴史地理学をくだくだ述べる気は全くない。ただし歴ヲタではあるから、せっかく近くまで来たのに、出雲崎に行かなかったのは残念だった、かな? といったところで、今それを思い出して話の始まりを着けようとしたまでである。ま、いずれ行けばいいんだし。
さて、腹減って凶暴になりかけたおっさんとSくんを乗せた車は、相変わらず雨の中、寺泊港すぐ近くの魚屋街に寄る、ただいまの時刻おおむね1120。

黄色い線が国道402号で、「寺泊下荒町」と書いてるのが駐車場である。その向かいに、魚屋が店を並べているのだが、まずは車を停めねばならない。
wikiによれば、「古くから漁業が盛んであり、海産物の市場であるアメ横市場は有名。バブル期は数多くの観光客が東京などの都市圏から訪れたが…中越沖地震の影響で、近年は観光客が減少している」とあるがとんでもない。季節外れの雨の日にも拘わらず、空から見てもこんなに大きな駐車場はいっぱいであって、停めんとする車の列が、それも無秩序に出来上がっている。禾ハ隴畝ニ生エテ東西無シ。
重爆撃機にまたがり高速に乗れば、「わはははは、ぶち抜いてくれるわ」などと抜かすこのおっさんと異なり、Sくんは至って慎重な運転をする。それだけに、無理せず他の車の流れに従い、そろそろと晴明号(今勝手に命名)を乗り入れていく。しかし空きを探そうにも、通路という通路は斜めに居座った団塊車がいるは、てめぇが向こう見ずに飛び出てきたくせにこちらをにらみ付ける団塊腐゜利薄もいるはで、危険なことこの上ない。
そうでなくとも団塊車は、傍若無人ゆえ危ないというのに、腐゜利薄なんかが出てきたらもう大変だ。あの力-は、宗一郎さんのとこが作った同コンセプトの力-と違って、見えん所ケチって配線の防護がいい加減だから、どうかすると高圧電流がダダ漏れになると聞く。丿ってる奴ぁまるで放電中のピカチュウを抱きしめているようなもので、事故の救助隊も怖がって近づかないとまで言う。
そんなもんを高い金出して、悪しき商業主義にだまされて買い、あまつさえ自分はエコ人間だお前らなんぞより高級なのだという、下らない思い上がりを満足させるところなぞ、まさに団塊らしいと言えばその通り。ていうか、それって団塊のひ弱な精神的弱点を、某国賊力-屋に突かれてんじゃないの?
バカで図々しいくせに、分不相応な金持ってるから、奴らは嫌われるのである。
ゆえに私は、Sくんやめヨここ、と言い、うんそうですねとSくんも言う。メシなんざどこだって食える。2、3日食わなくたって死にゃしない。
並んでまで食うものかね、という真理が、若いにも拘わらずわかっているところが、Sくんの逸材たる所以である。
というわけで散らかった雀卓のような駐車場からやっと抜け出、ふと頭を巡らせば別の駐車場の看板が。
おいSくん、あっちはどうだろうと私が言う。Sくん直ちに車を入れる、あ、がら空きだ。

2つの駐車場の間には道一本と、何でもない植え込みがあるに過ぎない。そんでもってこの有り様、やはり人の行く裏に道あり、花の山、である。パンピーの後くっついていたら、この時代ろくな事になりはしない。
車が停めれんのなんのとわぁわぁケンカ騒ぎしている団塊どもを尻目に、わしらはさっさと魚屋街に向かう。

店先ではどこも、うまそうな海産物を焼いてその場で立ち食いさせている。持ち込んで二階の食堂で食べてもいいという。無論二階は二階で、それ相応のめしも食わせるらしい。
おっさんはもうよだれたらたらなのだが、時分時ゆえ空いた二階がなかなか無い。やっと一軒見つけて入り、泥足ぬぐって座敷に上がる。
二階には番台があって、女のくせに塩辛声で、若いのを追い回しているおばはんが居る。ケシカラン事にこの女、客と使用人の区別が付かないらしく、至って横柄な口を利き、わしらをテケトーに座敷に詰め込む。もっとケシカランのは煙草が吸えないことで、吸いたきゃ外出て雨の中、のら犬のようにうなだれるしかない。
Sくんは、私がどういう人間かだいたい知っている。私は商売人だけに、商売人のくせにお客様に横柄な奴を見ると、とたんに機嫌が悪くなる。それと察してSくん黙る。
ま、ばばあがそうなるのもわからなくは無い。手前ェで空きを探す才覚もないくせに、車が停めれんとケンカしているばか団塊を毎日相手していれば、あんな風にならざるを得ないのだろう。
あたしだってお客様以前(=まだ私に金払わない人)が、タカリの某地方人(=金払わねぇくせに、物心色々とよこせと平気で言うある地域の人*)ばっかりだったら、このばばあのようになったかも知れない。愚に交わらば愚物となることわりである。
それゆえ全国からお客様に来ていただけるという私は、何と恵まれた商売人か。
詰め込まれた隣の卓を見れば、同年代の男二人が、黙々とカニを食っている。それ見た私は厄払い&景気づけとばかり、おいSくんカニ食うかという。いいですねと小声で言うのでそれぞれ定食に加え、カニを一皿注文する。
そもそもカニは、TPOを選んで食うべきである。若い頃の教訓では、おネエちゃんと出かける時はカニ食うな、と言われたものだ。カニは食うに手間がかかるゆえ、黙るしか無くて気まずくなり、たいていそういう女とは別れることになるからである。しかも経験上の事実は何より重い。
それ忘れて注文しちまったのは、私が責めを負うべきである。むろんSくんは男だから、鉄則通りにする必要は無いが、黙ってる私がさらに黙ると、せっかくの景気付けはおじゃんである。
やがてそれぞれの定食も来る。味はもうこの際言うまい。客ナメたばばあの店らしいそれとだけ言っておく。私にはどうだかなの出来であるが、団塊のような連中にはおあつらえ向きだろう。
おあつらえ向きというのは他でもない。Sくん共々黙って食ってたら、Sくんの背後より、どこぞの生き物のダミ声がする。ジジババ取り合わせでやって来たその生物、「これはヨーショクや。あ、これはユニューモンや」などと、うんちくとケチ付けをかねて得々としゃべっている。
こういうやつはどの集団にも居る。自分以外の何かが、何も悪い事をしないのに、それを貶めることでしか、自分の優位を誇示できない生き物である。すなわち精神的に、我からいじめられっ子になっているというやつである。むろんそんな奴はボコりたいほど私は嫌いだ。
今改めてその生物を観相すると、臆病・無能の相がありありと出ている。皆様もよくご覧になるがよろしい。我が友人諸賢にして、どやつがそいつかわかった風流の士はぜひご一報を。温泉セットが当たるかも知れない。
ま、それはともかく、お前ェの話は不愉快だから、黙って食えコノヤロ。
そいったら感情が面に出たのだろう、Sくん、こりゃやべーよというような顔をして困る。互いに口数はますます少なく、めしはますますナントカだ。食い終わるやいなや、ゆっくりお茶を飲もうともせず、Sくん腰を上げようとする。
めしを食いたがったのも店選んだのもカニ取ったのもそれは私だ。くだらん生物の雑音なぞ聞き流せばよろしい。ゆえに全ての責任は私にある。従ってSくんには悪い事をしちまったようで後悔もするが、そこはSくんもケッコーなタマだから、存外私の様子を見て面白がっていたかも知れない、そうであってくれい。
店出た後は機嫌直しである。雨もようよう上がってきた。この1ポイントで1エントリじゃ足りないとは思いも寄らなかったが、寺泊の話はまだ続く。
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*某地方人:私にとって非常に難しい問題である。
友人となってくれて、無償であれやこれやの便宜を図ってくれた某地方人を、片手ほどだが私は確かに知っている。
ところがそれ以外の某地方人は、クズでタカリで、私の弱みにつけ込んで土足で踏み込み、ちょっとしたものでもたかってやろうという、ヤクザのような連中だった。
…あたしは未だに決めかねている、某地方人って人々を。
Aさん、ありがとうございました。
早朝に○○駅まで来て下さり、○○城や古墳やお宮やその他あれこれ、案内して下さってありがとうございました。
朝早くの駅うどんで、そば、と言ってしまいすいませんでした。
あなたはいつまでも、あたしの友達です。

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